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大宮ソフト 鈴木氏/只隈氏 インタビュー

2015年5月29日

©1997-2012 Omiya Soft.
©2012 Nintendo
スーパーファミコン・ニンテンドー3DS
は任天堂の商標です。

「カルドセプト」シリーズで有名な老舗ゲーム会社「大宮ソフト」の鈴木氏(取締役社長)と、只隈氏(3DCGデザイナー)にコンシューマー機での3DCGの作成方法などについて、お話しを伺いました。


鈴木 英夫(すずき ひでお)

有限会社大宮ソフト 取締役社長
エヌシーエスメサイヤ(メサイヤ)にて数年間プログラマーとしてゲーム制作に携わった後、1993年1月に大宮ソフトを設立。

 

只隈 圭介(ただくま けいすけ)

有限会社大宮ソフト 3DCGデザイナー。
エヌシーエスメサイヤ(メサイヤ)にてプログラマーとして入社し、その後CGデザイナーに転身し多くのゲーム制作に携わる。その後、鈴木氏と共に大宮ソフトを設立。

 

有限会社大宮ソフト http://www.omiyasoft.com/
カルドセプト http://www.nintendo.co.jp/3ds/acbj/

 

大宮ソフト様の簡単な社歴やどのようなゲームソフトを制作されているかを教えて頂けますか。

 

鈴木氏:エヌシーエスメサイヤ(メサイヤ)というゲーム会社がありまして、そこでプログラマーとしてゲーム制作に携わっていました。1992年ごろにメサイヤを退社し、1993年1月に大宮ソフトを設立しました。最初に制作したゲームは、メガドライブで『ロードモナーク 〜とことん戦闘伝説〜』というゲームでした。

DS:その頃からLightWaveを使用されていたのでしょうか?

鈴木氏:さすがにその頃はLightWaveは使用しておらず、PC-9801あたりで開発していました。

DS:只隈さんの経歴も教えて頂けますでしょうか。

只隈氏:鈴木より少し後にメサイヤに入社し、1年目はプログラマーだったのですが、すぐに絵描き(CGクリエイター)になりました。その頃は3Dではなくドット絵でCGを書いていました。その後、一緒に大宮ソフトを起業し、カルドセプトシリーズの2作目あたりから3DCGで制作をし始めました。確か、PROJECT-WIVERNがWavy Awardsなどのコンテストで賞を獲られた年ぐらいからLightWaveを使用し始めたと思います。Video Toaster(ビデオトースター)にバンドルされていたLightWave 3Dが、スタンドアローン版としてリリースされ、切り替わり頃の時代ですね。セガサターンで、遊び感覚でムービーを作ったりしていました。

カルドセプト

DS:カルドセプトシリーズ以外にどのようなゲームを制作されたのでしょうか?

鈴木氏:メガドライブで『ロードモナーク 〜とことん戦闘伝説〜』を制作し、スーパーファミコン™で『FRONT MISSION SERIES GUN HAZARD』、プレステ2で『機甲装兵アーモダイン』などでしょうか。最新のゲームとしてはニンテンドー3DSで発売している『カルドセプト』になります。

 

 

以前から御社ではLightWaveを使用されておりますが、使用することになったきっかけを教えてください。

 

只隈氏:最初は漠然と3DCGをやっておかないと、というのが一番最初にありました。それと、当時他の3DCGソフトに比べて価格が安かったという点と、一般書店などでも比較的、LightWave関連本が置いてあったので、その辺りだけでも導入するには十分な理由でした。また、チュートリアルが充実しているという噂を聞いており、個人製作をされている方も多かったので、きっととっつきやすいのではないかと思った部分もありました。

 

全体のワークフローの中でのLightWaveの役割をお教えください。

 

カルドセプト

只隈氏:キャラや背景など、ほぼ全般的に使用しております。

DS:他の3DCGソフトは使用されているのでしょうか?また、協業会社さんとのやり取りなどはどうされているのでしょうか?

鈴木氏:他の3DCGツールは使用してないですね。協業会社さんとやり取りするときは、他社の3Dソフトをメインツールとしていても、現場ではLightWaveも結構使用していたりするので、LightWave形式のデータで納品してもらうようにしています。

DS:そうしますと、LWSやLWOなどでやり取りされているのでしょうか?

鈴木氏:最近ではそうですね。ツール間のコンバートは信用できない部分もありますので、同じツールでやり取りを行っています。コンバートしたことによって、モデルの制作者に変な風になったといわれても困ってしまいますからね。

DS:LightWaveで制作されたモデルはどのようにゲームへ組み込まれているのでしょうか?

鈴木氏:UI、背景、キャラ以外としては魔法効果のようなエフェクト部分もLightWaveで制作しています。

DS:そういったものも3Dデータとして制作されているのですね。

鈴木氏:はい。うちの場合ですと、3次元座標を扱う物は、すべてLightWaveで制作しておりますね。

DS:2Dで制作されるCGはあったりするのでしょうか?また、LightWaveをモデリングツール以外に使用されていたりするのでしょうか?

鈴木氏:これを例えばニンテンドー3DSの場合は、立体視空間内での位置を人の手で調整していくのですが、事前にLightWave上で配置位置を確認するといった形で使用する場合もあります。極端な場合は、座標値を確認するためだけにも使用したりしますね。あと、NULLオブジェクトをゲームデータとして配置し、自社で開発したプラグインと併用して効果音を鳴らすといった使用方法も行っています。

DS:アニメ会社さんとはまた違った使用方法をされているのですね。

鈴木氏:そうですね。アニメや映画の方々は、多分、最終的な絵が意図した状態になっていることが大事だと思うのですが、うちの場合は、ゲーム内にLightWaveのデータを直接反映する事になりますので、制作の過程がかなり違うのではないかと思います。例えば、ドープマーカーの機能がありますが、映像関係を制作をされている方からするとなんでこんな機能があるのか不思議に思う人もいるかと思うのですが、僕らとしてはあの機能があることでモーションのマーク打ちをすることができるので、非常に助かっていますね。

 

ゲームを制作する上でLightWaveの長所、または短所などありましたら教えて下さい。

 

只隈氏:他のソフトですとメニューの階層が深いため、それが作業を行っていく上で結構妨げになるのですが、LightWaveの場合、自分がよく使用する機能を1つのタブにまとめておくことで、基本作業の効率化が図れるという点がメリットですね。

DS:現在、LightWave 11.xをメインとされているかと思いますが、よく使用されている機能などはありますでしょうか?

只隈氏:ポイントを掴んでモデルを作成していくという機能がメインですね。

DS:モデラーの方をよく使用されているのでしょうか?

只隈氏:そうですね。私はモデリングがメインなのでモデラーを多く使用しており、レイアウトのほうはモーション付けを行っている鈴木が使用しておりますね。

鈴木氏:私はUI関係のパートも担当しているのですが、UIのモーションにはレイアウトを使用しています。只隈の方は、ゲーム背景などわりと静的な物を作成しているので、頂点にUVを貼ったりみたいなことをずっとやってますね。

DS:モデラーを主に使われていて、こういった機能が欲しいなどはありますでしょうか?

カルドセプト

只隈氏:エッジベベルで溝が掘れるといいですね。例えば平面のエッジを選んで、少し窪ませるとか、少し出っ張らせるなどができるようになりますので。スジ彫りをするみたいなイメージです。角を掘るだけではなく、そのような機能がほしいですね。

DS:気に入って使用されている機能などがありましたら教えていただけますか?

只隈氏:機能ではないのですが、起動や動作がLightWaveは軽いという点でしょうか。複数のLightWaveを起動して、以前作ったシーンと見比べながらオブジェクトを置き換えるといった作業を行うのですが、複数起動してもサクサク動作するという部分はありがたいですね。

鈴木氏:同じLWSを複数ひらいていると、たまに間違ってセーブしてしまうことがありますがね。

 

LightWaveの他によく利用されている3Dツールや連携して使われているツールはございますか?

 

只隈氏:3DツールはLightWave一本ですね。

鈴木氏:昔はMayaのモーションデータをエクスポートして、LightWaveにもっていくといったこともやってましたが、現在はLightWaveのみですね。

 

先程、御社独自のプラグインなどを開発されているとおっしゃってましたが、もう少し詳しくおきかせていただけますでしょうか?

 

鈴木氏:プラグインなどを自社で開発する場合、基本的には社内のプログラマーに依頼して重要度が高そうなものから作成してもらっています。社内に掲示板のようなものがあって、ここにリクエストするといった感じになっています。

カルドセプト

DS:例えばどのようなプラグインを作られているのでしょうか?

只隈氏:メインで使っているのはUV関係ですね。例えば、256x256の解像度にぴったりUVを合わせるために、1mを1ドットに置き換えてきっちり貼り付けることができるプラグインなどですかね。

鈴木氏:現在、我々が扱っているプラットフォームは、解像度の点からもなるべくdot by dotで出力することを意識しないと絵が荒れてしまいますからね。

DS:ほかにはどのようなプラグインがありますでしょうか?

只隈氏:ポリゴンのあるエッジからどのぐらいの距離の所でナイフを入れるとかといったプラグインもありますね。

DS:モデラー関係のプラグインが多いようですが、どれぐらいの種類のプラグインがあるのでしょうか?

鈴木氏:数は分からないですがかなり数のプラグインを作ってますね。一度作ったプラグインに、機能追加や強化する場合も多いです。

 

ゲーム制作の上で次のバージョンに対する要望などはございますか?

 

只隈氏:VPRをモデラーに付けてほしいです。モデラーでサーフェイスの確認ができないので、いちいちレイアウトにもっていくのも面倒なので実装してもらえるとうれしいですね。

鈴木氏:ファイルフォーマットを公開してもらえるとありがたいですね。とくにLWOのほうとか。

只隈氏:あとは、よく使用する機能の1つにナイフがあるのですが、ナイフでUVが壊れてしまうときがあるんですよね。ある程度テクスチャを貼ったあと、ナイフで切らなきゃってときに壊れてしまうので結構ショックですね。UV貼るまでは出来る限りモデルはシンプルにしておいて、最後に切ろうと思うといったことができなかったりするので、このあたりを改善してほしいです。

 

最後にこれからゲーム業界で、3DCGに携わっていこうと思っている方にアドバイスがございましたらお聞かせ下さい。

 

カルドセプト

只隈氏:ゲーム機で、とくにローポリのゲーム機の場合はテクスチャが一番大事だと思うんですよね。動画とは違いゲームはユーザーがモデルを自由に動かすことができるので、動かしたときに絵が崩れていたりしてはまずいので、絵なりモデルなりユーザーが動かすということを常に意識して作っていく必要があるという点でしょうか。

鈴木氏:学生さんや、これからゲーム業界に携わろうと思ってる方たちは、生産性を意識すべきだと思いますね。プロとアマでの技術知識の差は薄まってきていると思いますし、センスは固有のものですから、あとは速度が効いてきくるのではないかと。僕らもプラグインとかを作ったりするのも、結局は時間を短縮するためなので。
クリエイターの仕事って、針仕事みたいに時間をかけてすることが多いと思うのですが、これを何等かのツールを使用することで、ミシンを使うように一気に作業時間が短縮できる部分も多いですよね。つい手作業だけで黙々とやってしまいがちですが、いかにすばやく作るかっていうのも、完成品のクオリティやモチベーションなどに響いてくるんじゃないと思いますね。LightWaveみたいなツールを使って、とかですかね。

本日はありがとうございました。